小児の気管支喘息

喘息は、ゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)と呼吸困難(呼吸が苦しい感じ)を繰り返す病気のことを指します。 その中で、気管支喘息は、この気管支(口・鼻からの空気の通り道)の内側の粘膜で、分泌物(痰、たん)が増えるとともに、粘膜を囲む筋肉が縮むために空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。狭い気道を空気が通るため、ゼイゼイやヒューヒューという音がするのが特徴です。このゼイゼイして苦しい状態を喘息発作と呼びます。

ひどい喘息発作は、アレルギー反応や風邪のウイルスの感染がきっかけで起きますが、喘息発作がないときでも、運動や冷たい空気などの刺激により、気管支粘膜に気道粘膜のむくみや、気道を取り囲んでいる平滑筋の収縮などが起こりやすくなっていることで、喘息発作が起きやすくなっています。これを慢性気道炎症による気道過敏性亢進と呼びます。

(図:日本アレルギー学会HPより引用)

喘息の治療は、苦しい呼吸を楽にする発作治療(気管支拡張薬の吸入など)だけでなく、慢性気道炎症を改善する治療(長期管理と呼びます)が大切になってきます。長期管理を適切に行うことで、重症な喘息発作で入院する確率は減少するだけでなく、正常な気道(気管支)の状態で成長していくことで、喘息を治すことも可能になります。(治療開始により調子良くなっても、自己判断で治療をやめないことが大切です。適切なタイミングで治療のレベルを少しづつ軽くしていくことが大切です。)

一度風邪をひくと咳が長引いたり、風邪っぽくなったと思ったらすぐゼイゼイしたり、そういう状態を繰り返している幼児や、運動時にゼイゼイして息切れが激しい小学生は、喘息かもしれません。